静岡蒸溜所から、特別な「ポットスティルK」が登場します。
2026年10月発売の「シングルモルト日本ウイスキー 静岡 ポットスティルK 100%外国産大麦 2026年版」は、スコットランドの伝統的な大麦品種「ゴールデンプロミス」を100%使用した、5年熟成のシングルモルトです。
ゴールデンプロミスは、甘く豊かで、ふくらみのある麦芽の風味で知られる品種です。製麦会社のBairds Malt社も、その特徴を「甘く豊かで、厚みのある風味」と説明しています。
本作では、ハチミツやメープルシロップを思わせる甘さ、野の花や若草のようなニュアンス、そしてビスケットを思わせる穏やかな余韻となって、その個性が表れています。
そして今回の一本を語るうえで欠かせないのが、「ゴールデンプロミス」と「蒸留機K」の繋がりです。かつて軽井沢蒸留所で使われていた大麦と、軽井沢から静岡へ受け継がれた蒸留機が、時を越えて再び出会いました。
ガイアフローシングルモルト日本ウイスキー 静岡ポットスティルK 5年100%外国産大麦 ゴールデンプロミス2026年版 50.5%GAIAFLOWSINGLE MALT JAPANESE WHISKY SHIZUOKAPOT STILL K 100% IMPORTED BARLEYGOLDEN PROMISE2026 EDITION 55.5%
◆アルコール度数:50.5%◆内容量:500ml◆麦芽:100%外国産大麦(英国産ゴールデンプロミス種)◆初留蒸留機:蒸気加熱式蒸留機K◆熟成年数:5年◆希望小売価格:12,680円(税抜/税込 13,948円)
テイスティングコメント香り:フルーティーな香りに、ハチミツやメープルシロップを思わせる甘さ。味わい:ゴールデンプロミス由来と思われる少し青さをともなう、野の花のようなニュアンス。余韻:やわらかく、優しいモルトの甘みとビスケットの風味が広がる。
ゴールデンプロミスは、1970年代を中心にスコッチウイスキーの黄金期を支えた、伝統的な二条大麦(春播き)の品種です。
その誕生は1950年代にさかのぼります。当時スコットランドでは、強い風雨によって大麦の茎が折れ、収穫前に倒れてしまう「倒伏」に多くの生産者が悩まされていました。
この課題に応えるべく、英国の種苗会社が既存品種を突然変異によって生み出したのが、茎が短く硬いという特徴を持つゴールデンプロミスでした。
Maythorpe(メイソープ)という品種をもとに突然変異育種によって生み出され、1968年にスコットランドの推奨品種となりました。
1960年代に英国で品種として登場すると、醸造・蒸溜に適した特性から広く知られるようになります。
短稈で倒伏に強いことに加え、成熟が早く収穫時期を早められる点も、この品種の大きな特徴です。さらに、独特の風味や口当たりの良さから醸造家や蒸溜家からも高く評価され、1970年代には広く栽培されるようになりました。
そして1980年代半ばにかけて、スコットランドの大麦生産を席巻しました。当時のスコッチウイスキーを支えた、代表的な大麦品種のひとつです。
しかし1980年代に入ると、より収量が高く、農業上の特性にも優れた新品種が登場し、栽培の主流は徐々に移っていきました。ゴールデンプロミスは商業品種としての寿命を迎えつつありましたが、その味わいを評価する生産者によって使われ続けてきました。
それでも現在まで、ゴールデンプロミスが姿を消すことはありませんでした。
造り手が評価したのは、味わいです。
甘く豊かで、ふくらみのある麦芽の風味。農業上の効率だけでは測ることのできない個性を求める造り手によって、現在まで受け継がれてきました。
現在ではスコットランド東部の沿岸地域を中心に、契約農家によって栽培が続けられています。北はスコットランド・ハイランド地方のウィックから、南はイングランドとの国境に接するスコティッシュ・ボーダーズまで、さまざまな地域で育てられています。
ゴールデンプロミスの価値は、単に「古い品種だから」ということではなく、その味わいを魅力として選ばれ続けているところにあります。
日本において、このゴールデンプロミスへのこだわりを象徴する存在として語られるのが、「軽井沢ウイスキー蒸留所」です。
軽井沢蒸留所は、スコットランドでも入手が困難になりつつあったゴールデンプロミス麦芽とシェリー樽熟成にこだわり、木製発酵槽とを用いてウイスキーを造っていたことで知られています。
ゴールデンプロミスの個性が、「軽井沢」の奥深い味わいを特徴づけていたと言われています。
本作では、軽井沢が採用していたゴールデンプロミス種の麦芽を100%使用し、同蒸留所から静岡へ移設された蒸留機Kで初留を行いました。
軽井沢が選んだ大麦品種と、そこで使われていた蒸留機。二つの伝説が、静岡の地で再び出会いました。
本作における軽井沢とのつながりは、ゴールデンプロミスと蒸留機Kだけではありません。麦芽の粉砕から発酵、蒸留まで、ウイスキーづくりの各工程に、その歴史が息づいています。
麦芽の粉砕には、旧軽井沢蒸留所から静岡へ移設された「ポーティアス・モルトミル」を使用しています。
1989年に英国イングランドで製造された、堅牢な麦芽粉砕機です。長年にわたって軽井沢蒸留所のウイスキーづくりを支え、2016年に静岡へ移設されてからも、現役で稼働を続けています。
麦芽の粉砕は、後に続く糖化や発酵、そして最終的な原酒の品質にも影響する、ウイスキーづくりの最初の重要な工程です。
この粉砕機は、スコットランドの多くの蒸溜所で稼働していますが、あまりにも頑丈に出来ているため、新品の需要が無くなってしまい、新規の製造が終了してしまいました。
日本国内では他に、サントリー山崎蒸溜所と、福島の天鏡蒸溜所で使われているだけです。
静岡蒸溜所では、ステンレス製ではなく、木製の発酵槽を使用しています。
発酵槽には、静岡市産の杉製と、米国産オレゴンパイン製の2種類あります。オレゴンパインは、軽井沢蒸留所でも発酵槽に使われていた木材です。
蒸留機K用の仕込みには、このオレゴンパイン製発酵槽を使用しています。
木の内部に住み着く酵母や乳酸菌の働きも生かしながら、複雑で豊かな香味を持つもろみを育てます。
また、発酵の際に発生する二酸化炭素の泡を消すために回転する泡切りの羽根は、軽井沢で使われていたステンレスのブレードが移植して使われています。
蒸留機Kは、軽井沢で使われていた蒸留機をオーバーホールし、静岡へ移設した初留釜です。
釜のサイズに対して、長いヘッドとラインアームを持つ、独特の形状が特徴です。蒸気による間接加熱と相まって、ライトでフルーティー、エステリーな酒質の原酒を生み出します。
2016年の静岡蒸溜所操業開始当初から稼働し、2024年の大規模修繕を経て、現在も静岡のウイスキーづくりを支えています。
このリリースは「軽井沢の再現」ではありません。
軽井沢蒸留所から受け継いだ設備や素材を用いながら、仕込みから熟成までを行うのは静岡の地。
静岡の水、気候、そして静岡蒸溜所ならではの製法と時間が加わることで、受け継いだものを新たな個性へとつないでいきます。
歴史となった蒸留所のものづくりへの敬意を込めて、静岡で生まれた新しい一本。
それが、今回の「ポットスティルK 5年 100%外国産大麦 2026年版 ゴールデンプロミス」です。
2026年9月28日、静岡蒸溜所はウイスキー製造免許取得から10周年を迎えます。
2016年の操業以来、静岡の地でウイスキーを造り続け、さまざまな原料や製法に向き合いながら、「静岡らしいウイスキー」を探究してきました。
本作は、その10周年を迎えた最初のリリースとなるシングルモルトです。
軽井沢蒸留所が選んだゴールデンプロミスと、そこから受け継いだ蒸留機Kが、静岡の地で再会し、そこに静岡の水と気候が加わり、静岡蒸溜所が10年にわたって積み重ねてきたウイスキーづくりが結実しました。
受け継いだものをただ再現するのではなく、静岡の地で新たな個性を生み出す。
「ポットスティルK 5年 100%外国産大麦 2026年版 ゴールデンプロミス」は、そんな静岡蒸溜所の10年の歩みと、これからのウイスキーづくりを象徴する一本です。
10月下旬、発売予定。どうぞご期待ください。